プ リ ン ス

地味な嫌がらせを流し、椅子に腰掛けて愛書を開いた。




「なんでこの学校に来たんだか。」

「噂じゃ女に貢がせてるらしいぜ。」

「あぁー、それってホストやってるって話?」

「そうそう。毎晩枕やってるらしいよ。」

「ええーマジで?」

「母親は風俗で働いてたとか。」

「うわー。じゃあ父親が誰か分かんねーじゃん。」

「実は脂汗たっぷりなブスだったりしてー」

「いやいやあの顔だから、たまたま良い顔の奴だったんじゃねーのー?」

「まぁ……プリンスとか呼ばれてるらしいしー?」




誰の話をしてるかなんて一目瞭然。




さっきからこっちを見ながら会話をする白ネクタイ数人。




わざとだな。




「ねぇねぇー、それって本当なのぉー?」


白ネクタイをしたギャルらしき人が白ネクタイの男達に言った。




「本当らしいよー…クスクス…。」

「えぇー、美和ぁ気をつけるぅー…クスクス…。」




ヒソヒソと騒がしくなる教室内は居心地が悪い。




罵詈雑言されても、気にせず読書をする。




言いたい奴は言わせておけばいい。




言葉で責めても効き目は無いよ。