プ リ ン ス

俺は自分に注がれる視線を気にすることなく、顔を窓側に向けた。




「これでHRは終わりだ。問題起こすなよ。」




荒谷先生はそう言うと、出席簿を持って、教室から出ていった。




途端に俺の周りには女子が集まってきた。




「ねぇねぇ、彼女いる?」

「アドレス教えて〜」

「超カッコイイッ」

「今夜空いてる?」




ウザいぐらい嬌声をあげる女子たち。




香水の匂いが強すぎる……。




俺は絡みついてくる手を、やんわりと離した。




『静かにしてほしいな。』


ニコッと微笑むと、女子たちは顔を真っ赤に染め、俺から一歩下がった。




俺は寝る体制をとろうとした時、前に座っている奴にツンツンと腕を突かれた。




突っ伏していた顔を上げ、前を見据えた。




茶髪に青メッシュで、涼しげな目元、鼻が高くて、まぁ顔は整っているんじゃないかって感じの奴。




ネクタイは青。