理事長室に着き、前を見据えた。




―コンコン




「はい。」


『転校してきた宮内です。』


「どうぞ。」




―ガチャ




扉を開けて中に入り、ゆっくりと閉めた。




「よく来てくれたね、“宮王”くん。」




前にいる男性は、お父様と同じ年代だろう。
温容に見えるけど、威厳のある人だ。




『お初にお目にかかります。宮王羽藍と申します。』


俺は要のように斜め45度に頭を下げ、ゆっくりと上げた。




「私はこの龍牙学園の理事長、貴劉穣(キリュウ ミノル)だ。」


『貴劉様…。』


「今回は無理な依頼をしてしまってすまないね。」


『いえ……父の友人の方のお願いとあらば、喜んで協力させていただきます。』


「ありがとう…。世話になるね。」


貴劉は眉をすぼめて、空笑いした。




「君が宮王の人間だという事は、私しか知らない。何かあれば頼ってくれ。」


『分かりました。』


俺は少し安堵し、頷いた。