シークレットブーツのローファーを履き、全身鏡で前後を確認した。




シークレットブーツで身長は175cmに。




もちろん学校指定の運動靴も特注でシークレットブーツに。




念には念を。




女とバレてはいけないから。






私は目を閉じてからゆっくり目を開けた。




『行ってくる。』


「行ってらっしゃいませ、“藍坊ちゃま”。」




“俺”に切り替わった瞬間だった。




要に見送られ、マンションを出た。




今日から半年間、名前は偽名として宮内藍(ミヤウチ ラン)と名乗る事になる。




宮王の名を知らない者はいないから、偽名を使わないといけない。




俺は歩みを進めた。




道行く人達は時が止まったかのように立ち止まる。




その視線の先には




銀色の艶のある髪
黒い切れ長の目
目の下の涙黒子に
形の良い唇




長い足を颯爽に歩き、彼の香りを残していく。




皆、声に出せないほど彼に魅入っていた。