―コンコン
『はい。』
「要です。準備が整いました。」
『分かった。』
私は返事をすると、要と一緒に玄関へ降りた。
そこにはお父様、お母様、お兄様の姿が。
「気をつけるんだぞ。」
『心配しないで。お父様。』
「いつでも帰ってきなさい。」
『ありがとう。お母様。』
「毎日電話しろよ?」
『分かったよ、お兄様。』
皆の頬に挨拶のキスをすると家を出た。
ヘリの前で待つ要。
ヘリの中では操縦士が最後の点検をしている。
「足元に気をつけてください。」
『うん。』
私は要の手を借りて、ヘリに乗った。
要もヘリに乗り込み、ドアを閉めた。
ヘリが上へ上へと上がっていき、下にいるものが小さくなっていく。
下ではお父様達が手を振っている。
私も振り返した。

