全然似合わない……。




ぬいぐるみみたいな容姿をしてるのに、煙草吸うなんて……。




佐原先輩は吸った煙りを吐き出すと、チラッと俺の方を向いて口を開いた。




「お前がなんで龍牙に来たか分からないけど、誰に頼まれたかは検討がつく。」




この先輩……




見た目と違ってかなり頭が切れるようだ。




普段見せる可愛い雰囲気とは違って、鋭い目をしている。




「まぁ誰に頼まれたかなんてどうでもいい。
俺はお前は使えるやつだと思ってる。」




使えるやつって……。




「白龍に入れば見逃してやる。そうじゃなかったら容赦しない。」




冗談じゃない。
白龍に限らず、どこにも入らない。




俺は佐原先輩を睨みつけて、顔を横に振った。




「そうか……。」


佐原先輩は煙草の灰かすを灰皿に押し付けた。




「お前気づいてんだろ?
ここがどんな家か。」




薄々は気付いていた。




佐原という名字
この大きな屋敷
周りからの殺気




『佐原組……。』


「あたり……。」


佐原先輩はニヤッと怪しく口角をあげると、いきなり足を高く上げて、俺に振り落とそうとした。