プチッ


『とれた……。』




手首に巻かれた紐をとり、足首の紐もカッターで切った。




簡単過ぎる。




これも罠だろうか。




普通は腕を後ろに縛るのに、前に縛られていた。




佐原先輩は何がしたいんだ?




とりあえずここを出ないと。




俺は音をたてずに立ち上がり、ゆっくりと襖を開けた。




『!!』


俺は目を見開いた。




「4分25秒。まぁ早い方か。」




目の前には、ストップウォッチを持った佐原先輩がいた。




『…………。』




佐原先輩は着流しに身を包み、胡座をかいてその場に座っていた。




「もぉ〜待ったんだからねぇ〜」


ぷくぅと頬を膨らまし、さっきよりトーンを上げた声で言う。




『猫かぶんなくていいですよ。』


俺はハァー…と溜め息を零し、頭をかかえた。




「ふーん。あっそ。じゃあ遠慮なく。」


佐原先輩はそう言うと、胸元から煙草を取り出して先っぽに火をつけて、吸いはじめた。