プ リ ン ス













パチッ




脳が覚醒し、体を起こして辺りを見渡した。




『ここは……』




和室のようだ。




床の間には華が活けられ、掛け軸が掛かっている。




腕を動かそうとしたら




動かない……。




よく見ると、手首と足首を紐で縛られている。




『チッ……。』


羽藍は舌打ちすると、ズボンのポケットからカッターを取り出した。




こういう時の為に、カッターやスタンガンなどを身につけていた。




佐原先輩に取られてなくてよかった。




無理矢理指と腕を動かしながら、カッターの刃を出し、紐に当てて上下に動かした。




『いたっ……。』


カッターの刃が親指をかすめて、血が滲む。




親指から出た血を舌で舐めとり、またカッターを上下に動かした。