プ リ ン ス

『で、俺に何の用ですか?』


「あ、そうそう♪今日の放課後空いてるー?」


『放課後?何でですか?』


「えっとね〜、僕に付き合ってもらいたいの〜」


『断らせていただきます。』


佐原先輩の言葉に即答で返し、財布を持って教室を出ようとした。






「……グスッ……」


『……。』


「…ヒック……ふぇ……」


『……。』


気のせいだろうか。
なぜか泣き声が聞こえる。




「麻央くん大丈夫?」

「宮内って冷たいんだなー。」

「麻央くん泣かないでーっ」

「麻央先輩泣かせるとか最低だな。」




佐原先輩の泣き声にクラスの皆の陰口。
イライライライラ……




『はいはいはいはい。
行けば良いんでしょ。』


「えーほんとぉー?」ウルウル


羽藍はこめかみに青筋が立ちながらも、ニコッと笑顔で答えた。




『……。』


「わぁーいッやったぁ☆」


麻央はニコーッと笑顔で羽藍に抱き着き、ニヤリと妖しく口角を上げた。




羽藍は抱き着かれながら、ハァーっと深く溜め息をついた。