プ リ ン ス

「藍くんどうしたのぉ?」



首をコテンと傾げ、大きな瞳を向ける佐原先輩。




『俺に何の用ですか、佐原先輩。』


「あぁーッ、佐原じゃなくて麻央って呼んでーッ」


『……。』




いきなりぐずりだした佐原先輩……。




この人年齢詐欺してないよね?




コソッ
「この人、こう見えて成績は学年で5位以内に入ってるんだよ。」


『……。』


隣から桜井が耳打ちしてきた。




つまり成績は良いわけで……年齢詐欺もしてないということでいいのかな……。




でも俺は小学生の時にはもう高校までの勉強は終わっていたけど……ここは英才教育をしてる人がいるわけでもないし……。




まぁいっか。




『俺は、親しい奴しか名前で呼ばないんですみません。』


「えーッもぅ藍くんのけちぃッ」




プンッと頬を膨らませ、プイッと横を向く姿はどう見ても女の子にしか見えない。




周りの女子は目をハートにさせて、佐原先輩を見てる。




母性本能を擽られるのだろうか。




男も数人頬を赤く染めてるのは気にしないでおこう。