「ていうか、利益目的とか殺人以外の依頼には応えるっていう決まりを提案したのは棗でしょ。その決まりに原先生は反していないんだから(俺も面倒くさいとは思うけど)ちゃんと、仕事はしなきゃね」
「でもさ!あの糞ばばあだけは助けたいとか思えないよ!」
そう、俺も真っ直ぐに見据えて言う棗。が、次の瞬間、真希に「糞ばばあなんて、汚い言葉は使わないっ」と怒られてしまっている始末。
しかし、「本っ当に原ってムカつくんだって!絶対、真希もウザイって思うって!」とぎぎゃんぎゃん吠えるその目もまた真っ直ぐで。
ふと、俺みたいな捻くれた奴がする目とは全然違うな、と思う。
ーーーそういえば、いつもそうだった。
棗の目は真剣で、馬鹿みたいに真っ直ぐで。
「私はもう、傷つく人は見たくないんだ。だから誰かが、つまり依頼人が幸せになれても、他の人が傷つくような依頼は......請けたくない」
そう言ったあの時も、馬鹿みたいに真っ直ぐな目をしてたんだ。

