「山口さん。その紙を最後までちゃんと見てください」 しかし、そんな今日何度目かの沈黙を破ったのは、奏だった。 なんと彼は......笑っていた。 そして、真っ直ぐに山口さんを見据え、こう言い切った。 「僕は、貴方を追い詰める為にはここに連れてきたのではありません。追い詰める為に話を聞いたわけでもありません。 ーーーさぁ、早くその紙を最後まで見てください」 「紙?」 山口さんだけではない。全員の視線がその紙に集まった。 その紙ーーー咲夜さんがくれた、狼人間について書かれた紙へと。