話したくないんだもんって……。
「美羽、ふざけるのもいい加減にしろ。とにかく裕介くんと話を……」
「だから!それが嫌だからここに来てるんじゃん!なんで分かんないの!?このバカ兄貴!」
バ、バカ兄貴!?
「おい、美羽!お前、実の兄に向かってバカとは何だよ!」
「バカはバカよ。お兄ちゃんっていつもそう。人の話も聞かずに真実を突き止めようとする……ありえないっ」
美羽はドスッ!と俺の胸を拳で殴った。
い、痛ぇ……。
さすがは警察官だけあるな……。
「美羽!お前、ちょっとは……」
「落ち着きなさいよ、健太!美羽ちゃんだって傷ついてるのよ!?」
言い合いをしていた俺達に、隣で見ていた朱里が口を開いた。
「朱里さん……」
「美羽ちゃんだって辛かったのよね。そりゃ出ていきたくもなるわ。彼が他の女と一緒にいる所なんて見てしまったら……」
「うー……朱里さぁーん…」
美羽は朱里にしがみついたまま、大泣きし始めた。
「朱……」
彼女に話し掛けようとしたら、朱里が俺の目を見て首を振った。
そんな彼女の優しさに、俺は何も言えなくなった。
どれだけいい女なんだよ、お前は……。

