「朱里ー!ちょっと来て」
給湯室から健太の声がした。
「朱里、行ってきなよ」
「えっ、あぁ……うん」
あたしは水樹にそう言われ、給湯室に向かった。
「健太?どうし……」
「こっち来て」
ぐいっと手を引っ張られて、体を抱き締められる。
「や、健太っ…離し……」
「しっ。黙って」
頭を健太の肩に押し付けられて、声が出せなくなる。
ふわりと香る、彼の香り。
「健太…お願い、離して…ここ、職場よ……」
「朱里、何を悩んでんの?」
「え……」
「俺との結婚のこととか、子供のこととか……全部一人で背負い込んでんじゃん。俺ってそんなに頼りない?」
健太の言葉に胸がドクンと鳴る。
健太……どうして、そのこと……。

