「ふっ、結婚するって……その男とか?」
父は馬鹿にしたように笑いながら、健太を見た。
「紹介が遅れました。初めまして、佐々倉健太と申します。」
健太はそんな父に怖じけもせず、凛とした表情でそう言った。
「佐々倉くんか。君、仕事は何をしているのかな?」
「はい。警視庁の警護課でSPをしています」
「警察官か。やはりな」
父は残念そうに溜め息を吐き、煙草を取り出してソファに座った。
何なの…!?
「あの……何かお気に召しませんでしたか?」
健太が尋ねると、父は鼻で笑った。
「あるに決まってるだろう。君、警察官なんだろう?なら…朱里との結婚は諦めてくれ。付き合いも認めんからな」
は…?
あたしは呆然とした。