「香取。南条の奴、香取ときちんと別れられるのか?」


二岡もあたしと同じみたい。


隼人がきちんと香取さんと別れることができるのかが気になるみたい。


「う~ん……どうだろう。隼人は香取さんとは元々付き合っているわけじゃないって言ってたの。なんでも告白された時に、断ったら『1ヶ月だけ試しにつきあってくれ』って言われたんだって」


「それで?」


あたしはコクリと頷く。


その途端、頭を抑えて大きくため息をつく二岡。


「南条って頭いいわりには抜けてるんだな」


「え?」


「そんなの、自分が付き合うまでの土台固めだろ。香取に元々、1ヶ月経ったからって別れる気なんてサラサラないのさ。現に、今もそうだろう?」


二岡の言うことはあたしが思っていることと全く同じだった。


あたしもそう思っている。


普通なら告白して断られた時点であっさりと身を引くもの。


それを、断られても1ヶ月でいいから付き合ってくれなんて諦める気なんて全くないんだと思う。


だから、あたしも不安なんだ。


きちんと隼人が言って、香取さんが納得してくれるのか。


「大丈夫か? もしだぞ、もし、香取が何かしてくるようなことがあったら、すぐに俺に言えよ。言えずに我慢するんじゃなくて」


「二岡………」


「あっ! お前、今、俺の告白断っておきながらそんなことできないと思っているだろ? そんなこと気にしなくていいから。俺は彼氏にはなれなくても友達でいることはいいだろ?」


優しく微笑む二岡にあたしの胸は熱くなる。


あたし………もしかしたら、もっと早くに二岡に出逢っていて隼人と幼なじみじゃなかったら、二岡のことを好きになっていたかもしれない。


今さらながらだけど、本当にそう思った。