「どうぞ、どこか適当に座って。」






「…はい。」






立ち尽くす伊緒を部屋に誘導する。





やっぱり、様子がおかしい。





いつものような明るさや笑顔がない。





俺の目もあまり見ないし…。





「…先生?私の顔に何かついてますか?」





「いや……別に……。」





よく見れば、顔には泣いた跡が見える。





電話で泣いていたのは知っていたけど…あんなに跡がつくまで泣いたのか。






最近はよく泣くようになったけど、前はそこまで人前で泣く奴じゃなかった。





そんな伊緒がここまで泣いて、しかも俺に助けを求めたとなると…。






なぁ伊緒、俺はお前に何をしてやれる?





どうしたら、お前の涙を止めてやる事ができるんだろうな…。