『アリスはもう、私達の事は覚えてはいない。お前も、アリスが目を覚ます前にここから立ち去るんだ』

そして、少し間を置いてから

『お前も…好きに生きろ』

と、僕に背を向けながら言った。



好きに生きろ?

突然の言葉に、なんだか突き放された気分になる。

大悪魔が、僕の身に降り懸かる不幸の元凶だと思っていたけど

いざ、自由にされると、どうしていいのか分からない。



『貴方は、どうするんですか?』

なんだかこのまま別れるのは不安過ぎて、聞いてみたけど

『…さぁな』

と、呟くと、大悪魔は墜ちる様に窓から姿を消し、夜の闇へと溶けて行った。