白いシャツをサラッと着こなしちゃうあたりが、悠ちゃんのスゴイところ。

うちのお兄ちゃんなんて、一応“いいところの坊ちゃん”なのに年中パーカーを着てる。

悠ちゃんと歳もそう変わらないのに。

「はい、どうぞ」

「ありがとう」

いつものようにドアを開けてくれて、車に乗り込む。

もっと良い車に乗ったらいいのに、なんてお義母さんに言われてたけど、悠ちゃんは小さめのイタリア車を選んだ。

なんで?って聞いたら“かわいいから”だって。

そんな悠ちゃんがカワイイ。

「なに思い出し笑いしてんの?」

「ううん、なんでもないっ」

「え~?」

すっかり暗くなってきた。

もう6時か。

「美波、お腹へってる?」

唐突に聞かれる。

さっきカフェでワッフル食べちゃったしなぁ…。

「どうして?」

「ん、食事の前にさ、結婚指輪選びに行かないかなーって」

「……行く!!」

思いっきり良い声で返事。

そしたら悠ちゃん、ちょっと笑ってた。