浩哉くんから聞いた話。
悠ちゃんの、私との婚約の条件。
“もしも長男の秀介が伊崎を継がない場合、キミが継ぐことを約束するか?”
当時は茅島病院を継ぐのは浩哉くんの予定だった。
だから、次男である悠ちゃんは、伊崎を継いだっていいのではないか。
そんな理由だと思う。
でも……
私は、その話を聞いたら、胸が痛くなった。
だって悠ちゃんは、茅島家の息子であることを誇りに思っている。
脳外科医になったのも、お義父さんを尊敬してるから。
それなのに…。
伊崎総合病院は大きい。
だけど、脳外科自体の技術はそれほど専門的じゃないし、難しい症例は茅島病院に紹介されていく。
そんな病院に悠ちゃんを閉じ込めておくなんて、私は許さない。
そんなの理不尽じゃない?
私は、そんな約束のために、悠ちゃんを縛り付けてるんじゃないのかな?
そう思ったら、悲しくなる。
「お父さん、ちょっといい?」
夜遅くに帰宅したお父さん。
玄関でちょうどスリッパを履いていたところ、声をかけた。
…頭を押さえていた。
そういえば、悠ちゃんが言っていた。
“きっと頭痛とか吐き気とか、めまいとかも出てきてるはず”
どうしてそんな状態でも手術を拒むの?
お父さんは私の姿を見て、何度かうなずいた。
「…手術のことか?もう言ったはずだけど、父さんは…」
「病院のことが心配?」
何十年、ヘタしたら何百年と続く、医者の家系。
それを守るために、身を削ってでも医療に打ち込んできたお父さん。
そんなお父さんが、医療を拒否するなんて、おかしいよ。
悠ちゃんの、私との婚約の条件。
“もしも長男の秀介が伊崎を継がない場合、キミが継ぐことを約束するか?”
当時は茅島病院を継ぐのは浩哉くんの予定だった。
だから、次男である悠ちゃんは、伊崎を継いだっていいのではないか。
そんな理由だと思う。
でも……
私は、その話を聞いたら、胸が痛くなった。
だって悠ちゃんは、茅島家の息子であることを誇りに思っている。
脳外科医になったのも、お義父さんを尊敬してるから。
それなのに…。
伊崎総合病院は大きい。
だけど、脳外科自体の技術はそれほど専門的じゃないし、難しい症例は茅島病院に紹介されていく。
そんな病院に悠ちゃんを閉じ込めておくなんて、私は許さない。
そんなの理不尽じゃない?
私は、そんな約束のために、悠ちゃんを縛り付けてるんじゃないのかな?
そう思ったら、悲しくなる。
「お父さん、ちょっといい?」
夜遅くに帰宅したお父さん。
玄関でちょうどスリッパを履いていたところ、声をかけた。
…頭を押さえていた。
そういえば、悠ちゃんが言っていた。
“きっと頭痛とか吐き気とか、めまいとかも出てきてるはず”
どうしてそんな状態でも手術を拒むの?
お父さんは私の姿を見て、何度かうなずいた。
「…手術のことか?もう言ったはずだけど、父さんは…」
「病院のことが心配?」
何十年、ヘタしたら何百年と続く、医者の家系。
それを守るために、身を削ってでも医療に打ち込んできたお父さん。
そんなお父さんが、医療を拒否するなんて、おかしいよ。


