私は“変化”に弱い。

適応能力は、一応あるけれど、体がついていかないのか。

寒暖の差が激しい季節の変わり目は、体調を崩しやすい。

今回は、結婚と引っ越しという、環境の変化。

知らず知らずのうちに、疲れも溜まってきてしまったんだろう。

「…寒い…」

タオルケットを引っ張り上げて、しっかりとくるまった。

やっぱ、熱ありそう。

頭痛い…。

咳も出るし。

実家なら、専業主婦のお母さんがいて、何かと世話を焼いてくれた。

でも今は、私だって立派な大人。

自分で何とかしなきゃ。

風邪薬、あったかな?

タオルケットを羽織ったまま、ダイニングで薬を探す。

引っ越しのとき、薬なんて持ってきたっけ?

彼が医者だから、って変な安心感があって、結局持ってこなかったような気も…。

今思えば、それは計算違いだったなぁ。

たしかに彼は医者だけど、魔法使いじゃないんだもん。

自分の考えの浅はかさにガッカリしながら、またベッドルームに戻った。





気持ち悪い…

そう感じて目が覚めた。

あれからまだ3時間しか経ってない。

足元がふらつきながら、トイレにたどりついた。

昨日から何も食べてないのに、ちょっと吐いてしまった。

胸のあたりがヒリヒリする。

お水飲みたいんだけど、コップを出して、冷蔵庫開けて、っていう作業を考えると気が遠くなる。

はぁ…

ため息をついたけど、ちょっと変な感じがした。

息苦しいような。

喉の奥が締め付けられるような。