お店を出て歩き始めると、数十メートルも行かないうちにわたしの足はもつれて前に進めなくなった。
「ふや~…もうあるへなひ…」
言葉もうまく出てこない。
「おい、ナナ、大丈夫か?」
「だふぇ」
気持ちは悪くないけれど、身体がふわふわしてて、歩いている感覚がつかめない。
歩き疲れも相まって、レンのシャツをつかんだまま立ち止まるしかなかった。
「一杯だけだろ、飲んだの」
「そうだふぇど」
「そんなに弱いの?」
「はじふぇてふぉんだ」
「は?」
「はじめふぇ」
「初めて?」
コクリと頷くと、レンは参ったという顔をして、わたしの手をとった。

