「ぶっ! それ、全部口に入れるのか?」
「……」
レンはまた大笑いをしている。
わたしはため息をついて、フォークを下ろした。
「貸してみ?」
わたしのフォークを取り上げたレンは、上手にパスタを絡み始める。
「ほら」
笑いながら差し出されたフォークには、調度いい量のパスタが巻きついていた。
「…ありがと」
それを受け取って口に運ぶわたしを、レンは面白そうに見ている。
「ナナって、子供みたいなのな」
ビールを飲むレンは、必死にパスタを絡めるわたしを見て、しみじみ言った。
「そんなことないもん」
ちょっと睨んでみても、レンは目を細めたままビールを啜っている。
「もう」
わたしにも頼んでくれたピンク色のお酒を手にとってぐいぐいと飲み干すと、身体がほわほわと熱くなった。
「ほえ…甘い、美味しい」
目の前で笑っているレンの顔が、ぼんやりと霞んでくる。
お酒って、こんな感じになるんだ…ぼうっとする頭のなかで、そんなことを考えていた。

