お洋服屋さんを出たわたしの手には、紙袋がふたつ、握られている。
「えへへ。いっぱい買っちゃった」
「買いすぎだろ」
レンはちょっぴり呆れている。
レンの手にも紙袋。
そっちには、部屋を出てきたときに着ていたチェックのシャツと黒いパーカーと、ソファカバーで作ったスカートが詰め込まれている。
「ありがとね、レン」
「いーえ、どういたしまして」
呆れながらも、買った服をその場で着替えてきたわたしに、レンも少し満足そうだった。
お財布の中身を見て、少し青くなっていたけれど。
「ね、似合う? 可愛い?」
「うん、似合う」
「可愛い?」
「あー?」
「可愛い? 可愛い?」
「あーもう! 可愛いって」
「ホントに?」
「ホントに」
何度も聞くわたしに、レンはコツリとわたしの頭を叩いて、「可愛い」ともう一度言ってくれた。
幸せって、こういうことを言うのかな。

