「どんなのをお探しですかあ?」
おだんご頭で全身をばっちりと決めた店員さんが話しかけてきた。
わたしはどきどきして、身体を固めてしまう。
「あ…あの…」
しどろもどろでいると、レンが助け舟を出してくれた。
「コイツに、なんか適当に見繕ってくれますか?」
「え?」
「その、なんでもいいんで、いや、なんでもっていうか、オレはよくわかんないし、似合いそうなの選んでやってください」
「わかりました! 彼女さん、どんなのがお好みですか? え~と最近はこういうのが流行ってて……」
店員さんは、あちこち歩き回りながら、いろんな服をすすめてくれる。
(彼女…か。そう見えるのかな、わたしとレン)
何気ない一言に、わたしは嬉しくてうつむいた。
サンダルから飛び出した足の指がぴくぴくしている。
最初は戸惑ったけれど、カラフルなお洋服を試着したりして、わたしはだんだん嬉しくなった。
「どう? 可愛い?」
フィッティングルームを出て、レンに感想を聞く。
「うん、いいんじゃない、可愛い」
レンの返事はぶっきらぼうだ。
だけどちょっぴり顔が赤い。
わたしは嬉しくて楽しくて、何度も何度も試着した。
何度も何度もレンに見せた。

