「いらっしゃいませー」
女の子の店員さんがやけに大きな声を上げているお店に入ったわたしとレンは、ぐるりと店内を一周した。
「なんだか、いっぱいあってわかんねーな」
レンは居心地が悪そうにオシリをかいている。
店内には、カラフルなお洋服がいっぱいあって、
テレビや大学で見ていた女の子たちが持っているような可愛い小物もいっぱいあった。
レンは、こういうところに来たことなんてなかったから、
わたしがこういうお店を見るのも初めてだった。
「すごいね、いっぱいあるね」
「ナナはどんなのが好きなんだ?」
「どんなの…うーん、どんなのだろう」
聞かれたってわからない。
白クマのわたしが身につけていたものは、ずっと水色のスカーフだけだったんだから。

