「あっ、ヤバイ! 講義始まっちゃう!」


「うわっ! ホントだ」


「ちょっと早く行こ!」


「きゃー、待って待って!」



あわてて立ち上がった女の子たちは、ヒールのかかとを鳴らして走り去っていった。


テーブルの上には、ポテトチップの袋とココアの紙カップ。


まだ誰かが座っているみたいに、残されたテーブルの周りには甘い香りがふんわりと残っている。



いつだってそう、女の子の周りはお菓子といい香りがつきもの。



うらやましい、と何度も思う。



いいな、と何年も思っている。