わたしの願いは、届くはずもない。


わかっているけれど、どうしても祈ってしまう。


夜が来て、一日が終わるそのときにいつも。



レンの長いまつげが時折ぴくりと動いて、


規則正しい寝息が枕の上にすうすうと音をたてている。



神様に一生懸命お願いをした後、じっとレンの寝顔を見つめてみる。


あどけない、可愛い寝顔。



ずっと見ていたくって、襲ってくる眠気を我慢するいつもの夜。


携帯の赤いランプが、ふっと消えるころ、わたしは静かに眠りに落ちる。



そんな夜の習慣が何日も何年も続いたある日の朝、




―――奇跡が起きた。




その奇跡はあまりにも突然で、


当然、ココロの準備もできていなくって、


わたしも、もちろんレンも、びっくりしたんだ。




ただ……



わたしがあの白クマだったってことに、



レンは気づいていなかったけれど――――