病院に運ばれたベッドの上で、
切れ切れの声で、それでも優しく細めた目をレンに向けて、静かに話しかけたお母さんの言葉が、きっと今でもレンのココロに残っているんだ、と思う。
「もしも、お母さんが居なくなるようなことがあっても、ずっとレンを見てるからね。
なんにも心配することないのよ。お母さんはいつでもお空の上にいるから。
お星様になるだけなんだから。ね、レン」
あの日、レンは左手でわたしを握り締めて、右手をお母さんの白い手に置いていた。
静かに息を引き取ったお母さんの側で、
レンは涙を流すのも忘れたように、幼い顔についた小さな両耳を、赤く赤く染めていた。
唇をきつく結んで、じっと、動かなくなったお母さんを見つめて。

