君の左のポケットで~Now&Forever~


9時過ぎの夜の公園は、もちろん誰も居なくてひっそりとしていて、


黒い空に滲むように、遠くの空にはビルの明かりが点っている。



一瞬強い風が吹き付けて、


黄色のバケツが砂場の上をからからと転がった。



転がるバケツを目で追ったレンは、しばらくしてから缶ビールのプルトップをプシリと引いた。



しんとした公園に、その音だけがやけに澄んで、高く響く。



缶ビールを手にしたレンは、けれどそれを飲むことはせず、


小さな息をひとつ吐いて空を見上げた。



膝の上に乗せられた携帯の隣で、わたしも空を見上げている。