「お疲れ様でしたー」



ロッカールームへ戻ってきたレンの声は、


5時間の寂しさをあっという間に一掃する。



がたんっという音と共に開くロッカーに、


蛍光灯のもやもやした明かりがじんわりと差しこむ。



ジャケットのポケット越しに見える光は、


そんなに明るくもないのに暗さに馴染んでいたわたしの目に眩しかった。



ジャケットを羽織るレンの手がポケットに伸びてくるのがわかると、


わたしの身体は硬直する。



レンの手が携帯に伸びてくると、いつだってドキッとする。


レンの手は、わたしに用があって伸びるわけじゃないのに、


それでもやっぱりドキドキする。



携帯をつかむレンの手。


あったかい、少し筋張った大きな手。



その手も、


大好きだ。