レンの手のひらに包まれて見つめられるとき、わたしはまだ、きゅんとする。
撫でられると、生きていたときのことを思い出してしまう。
肌の感触や温かさ、抱きしめてくれる腕の力加減や何かを。
でも、その後のレンの穏やかな笑顔を見て、
笑い皺のできる大好きな笑顔を見て、
どうしてだろう、ほっとする。
好きな人の安心な笑顔は、心をぐっと軽くする。
ストラップに戻ってからそのことに気づいた。
どんな言葉をかけてもらえるよりも、その曇りの無い笑顔からすべてが伝わってくる。
************
講義室にチャイムが響くと同時に、わたしの身体が浮き上がる。
ポケットの中に納まったわたしを連れて、いつもどおりレンは階段を駆け下りる。
まだ集配センターのバイトは再開できないレンだけれど、
最近、ユウ君と二人でお菓子屋さんの梱包のバイトを始めた。
重労働じゃないし、短期だし、リハビリも兼ねてってことでユウ君が探してきてくれたみたい。
講義が終わると待ち合わせて、二人並んで自転車をこいで、そこへ向かう。
講義内容やバイトのこと、昨日のテレビ番組のことなんかをおしゃべりしながら。
二人とも、ちゃんと笑顔で。
わたしはそんな二人を見てる。
ゆらゆら揺れながら。
穏やかな気持ちで。
レンの左のポケットで。
************
「なあ、レン」
「んー?」
「もう教えてくれてもいいんじゃん?」
撫でられると、生きていたときのことを思い出してしまう。
肌の感触や温かさ、抱きしめてくれる腕の力加減や何かを。
でも、その後のレンの穏やかな笑顔を見て、
笑い皺のできる大好きな笑顔を見て、
どうしてだろう、ほっとする。
好きな人の安心な笑顔は、心をぐっと軽くする。
ストラップに戻ってからそのことに気づいた。
どんな言葉をかけてもらえるよりも、その曇りの無い笑顔からすべてが伝わってくる。
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講義室にチャイムが響くと同時に、わたしの身体が浮き上がる。
ポケットの中に納まったわたしを連れて、いつもどおりレンは階段を駆け下りる。
まだ集配センターのバイトは再開できないレンだけれど、
最近、ユウ君と二人でお菓子屋さんの梱包のバイトを始めた。
重労働じゃないし、短期だし、リハビリも兼ねてってことでユウ君が探してきてくれたみたい。
講義が終わると待ち合わせて、二人並んで自転車をこいで、そこへ向かう。
講義内容やバイトのこと、昨日のテレビ番組のことなんかをおしゃべりしながら。
二人とも、ちゃんと笑顔で。
わたしはそんな二人を見てる。
ゆらゆら揺れながら。
穏やかな気持ちで。
レンの左のポケットで。
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「なあ、レン」
「んー?」
「もう教えてくれてもいいんじゃん?」

