Tシャツから伸びるレンの腕はたくましさを取り戻していて、

ポケットに入り込んでくる手から持ち上げられるとき、

視界に入るその筋肉の動きに、相変わらずわたしはドキドキしている。


水色のお守りの隣で揺れながら、いつもレンを見ている。



レンの右手は、まだよく動かない。

リハビリに通う日が続いているけれど、

目を覚ました直後から比べれば随分と回復した。

ユウ君の協力もあって、日に日に元のレンに戻りつつある。



時間は、思っている以上に早く過ぎていくものだ。



わたしは最近、鞄の中にいるよりも、ポケットの中にいることが多くなった。

右手の動きがまだ不十分なレンが、鞄の中を確認する手間がもどかしい理由だと思うけれど、

大抵左手で携帯を確認したあと、わたしはレンの左のポケットにそっと戻される。


鞄の中にいるより、ずっといい。