レンの腕にしがみ付いたまま、わたしは声を殺して泣いた。


それでも、涙に濡れたレンの腕は、わたしを抱いてくれることはなかった。



左腕でレンの身体を包み、広い胸に耳を当てて鼓動を聴いた。



いつも、わたしを包んでくれた大好きな場所。


――しっかり、身体の中にその音を刻んだ。



レンの頬に触れ、まつげに触れ、唇に触れ、


――震える指先に、レンを刻んだ。





「レン…」



もう、呼べない、その名前



「ありがとう…」



あたし、幸せだった



「レン」



見つめて言えなかった言葉をあなたに



「愛してる―――」





最後のキスをして



わたしは



目を閉じた―――