病院へ戻る途中、わたしは公園へ立ち寄り、ベンチに座って星空を見上げた。



細い月が浮かんでいる。

ベランダから見たものと同じ、弱い光を放ちながら。



今日の星はまばらで、薄い月明かりを受けて頼りなく浮かんでいる。


それでもきっと、レンのお母さんはそこにいる。

わたしを見てくれている。



お母さん、きっと大丈夫だよね。

レンもユウ君も、また笑顔になれるよね。



星空を仰ぎ、手を伸ばす。

乾いた手のひらに優しい風が吹いた。