「ユウ君」


赤いスカーフとお守りを見つめたままユウ君の名前を呼んだ。


「ん?」

「あたし、ちょっと出かけてくるね」

「ん? ああ、アパート?」

「…うん。ちょっと」

「送ってく? もうすぐ暗くなっちゃうし」

「ううん、いい。レンの傍にいてあげて。夜…たぶん、遅くなるけど戻ってくるから」

「わかった。気をつけなよ。顔色悪いし」

「…ユウ君に言われたくないな」



わたしたちは少し笑って、顔を見合わせた。

お互い、鏡を見ているように切ない顔だろう。



「じゃ、お願いね」

「うん。気をつけなよ、ホント」

「うん。いってきます」



赤いスカーフとお守りをポケットに入れたわたしは、

ユウ君に軽く手を振ってその場を離れた。



もしかしたら…その気持ちを胸に抱えて――