動物園の入り口を出て、駅に続く横断歩道の前。 その時のことは―――思い出したくない。 でも、忘れられない。 赤信号に飛び出してしまったレン。 それに気づき、引き戻そうと横断歩道に飛び出したお母さん。 車のクラクションが鳴る。 かばうようにレンを抱きすくめるお母さんの白いカーディガンに、わたしも包まれた。 あとは――― あのときの記憶のまま。 わたしがレンのものになった日、 レンの誕生日、 お母さんは、 星になった。 *************