君の左のポケットで~Now&Forever~

ユウ君は3日後、退院することができた。

包帯はまだ痛々しく巻かれたままだったけれど、

少しづつ食事も喉を通るようになっていた。

けれど相変わらず元気はなく、顔色も優れなかった。



レンの病室に来たユウ君は、

泣き笑いのような顔でわたしを見、

包帯の巻かれた手首を押さえながら椅子に腰掛けた。



「ナナちゃん、迷惑かけちゃってごめんね」



苦々しく呟いたユウ君は、レンの顔をじっと見ていた。



「レン…オレ、死ねなかったわ。ったく、何やってんだろうな。レンがこんななのに、ナナちゃんにまで迷惑かけて…
オレって、何にもできねーんだな」



無表情なままレンに語りかけるユウ君の横顔。

眠ったままの、レンの顔。



見ていたくなかった。

こんな二人を、見ていられなかった。