君の左のポケットで~Now&Forever~

1階上のレンの病室についたわたしは、

緑色に光る機械の中で動くレンの鼓動を確認して、傍の椅子に腰掛けた。



レン…

ユウ君ね、すごく苦しんでる。

あたし…どうすればいいのかな。

レンとユウ君が目の前でこんなに苦しんでいるのに何もできない。

どうすればいいの…?



レンの顔を見つめ、その手に触れる。

少しでも動いて欲しいのに、その願いは届かない。



レンのことを守るって誓ったのに。

お母さんと約束したのに。

何もできないよ…レン…



ふと、備え付けの棚に置かれた携帯電話が目に入った。

わたしが居た場所。

もともと、わたしが居た場所。



わたしはただそこに付いて、レンを見ているだけだった。

ヒトになっても、こうして見ているだけしかできないなんて…

ユウ君のことも救ってあげられないなんて…



何て…無力なんだろう。