「ユウ君!!」


ドアを激しく叩きながら何度も名前を呼んだけれど、ドアは一向に開く気配はなかった。


ドアノブを回す。

鍵はかかっていなかった。


わたしは靴を脱ぎ捨てて、部屋の中へ踏み入った。


リビングにユウ君の姿はなかった。

奥のベッドルームへ駆け寄ったけれど、そこにもいなかった。



嫌な予感はますます強まっていた。


バスルームの前に立ち止まり、震える手で扉を開いた。




「――――!!!」




胸騒ぎは、現実のものとなっていた。



「ユウ……君…!!…」



バスタブに身体を寄せたユウ君の身体はぐったりと下を向いていて、


だらりと下がった右手には剃刀が力なく握られている。


灯りに揺れるバスタブの水は赤く染め上げられ、ユウ君の左腕が深く沈んでいた。