君の左のポケットで~Now&Forever~

レンの居ない部屋。

ぽつんと座った床の上に、眩しすぎる朝日が射し込んでいる。


明るくキラキラ光る陽光は、わたしの気持ちと裏腹に部屋の中を満たしている。

鳥が、ベランダの柵の上で鳴いている。

動き出した朝の音が、下の通りでも鳴り響いている。

人の声、自動車のエンジン音、どこかで聞こえる子供たちの甲高い声。


なにも変わらないのに、レンだけがいない。

「おはよ」と言って、寝癖のついた頭をかいて、

少しむくんだ、でも綺麗で可愛い顔で、

わたしに微笑むレンだけがいない。


何だろう。

何なんだろう。

これって、一体、何?

わたしだけがここにいて、

レンがいないって、

一体、何?


力なく座る床は冷たくて、その冷たさと孤独がわたしの身体をまた震わせ始める。