「白クマちゃんかあ。可愛いわね」



やんわりと細めた目で小さなレンを見つめたお母さんは、


華奢で、けれど温かそうな白い手でレンの頭を撫でた。



「大事にしなくちゃね。レンの誕生日にお友達になったクマちゃんだもんね」


「うん! 大事にする!」



この子は、レンって言うんだ。


少し見上げる位置にある小さな男の子とお母さんを見ながら、ぼんやりと思っていた。



小さなレンの手に包まれたわたしは動物園で売られていた白クマのキーホルダーで、


その日初めて触れられた手が5歳のレンだった。



ぽわぽわの白い毛に水色のスカーフを巻いた、親指サイズのキーホルダーのわたし。


ここにいる間、何度かヒトに触られていたけれど、


レンの手のひらは、わたしが納まるのにちょうどいい大きさで、


なんとなく居心地のよさを感じたりもした。