レンが、いつでも笑顔でいられるように。

それが、わたしの願いだから。


大切なヒトだから。



「じゃ、行ってくる」

「いってらっしゃい」

「いってきます」



レンを送り出す時間。

玄関で見送るわたし。


この時間は、慣れても、少し胸が痛い。

靴を履くレンの背中を見るとき、ふいに寂しさが襲ってくる。

シャツの裾をつかんで、「行かないで」と言いたくなってしまう。


今日も、ちくりと痛い胸の奥。



「早く帰ってきてね、レン」

「なんだよ」



目じりを下げたレンの笑顔。

この笑顔を、また一週間、見送ることになる。


一週間。

そう、一週間。

そのはずだったんだ。