「偶然、なのかな」

「不思議だね」



レンから赤いスカーフをもらった日の夜、

わたしとレンは、同じ夢を見た。


朝、ベッドで身体を起こしたわたしは、少しの間、ぼうっとしてた。

夢なのか現実なのか、よく境のわからない夢だった。


ソファを見ると、レンも起き上がって、ぼんやりとしていた。


「レン、おはよ」

「おはよ」


顔を見合わせたわたしたちは、きっと同じ顔をしていたと思う。


「レン、あたしね、お母さんの夢、見た」

「え?」

「レンの、お母さんの夢」

「……」

「レンも、一緒だった」

「…オレも」

「え?」

「オレも、お袋の夢見たよ。ナナも…いた」

「ホントに?」

「ああ」



夢の中のレンのお母さんは、

あの時と同じ、白いカーディガンを着ていて、

何を話すわけでもなく、ただ優しく、ホントに優しく微笑んでいた。


お母さんの周りは、ぼんやりと白くって、

だけど、はっきりとした存在感があって、

あの日、レンと一緒に捧げた白い小さな花束を胸に包んでいた。