君の左のポケットで~Now&Forever~

「早く食おう! ナナちん、ナイフナイフ」


一番食べる気満々なユウ君。

わたしもレンみたいに苦笑して、キッチンへ向かってナイフを準備する。

レンも手伝ってくれて、お皿とフォークと、コップを運んだ。


ケーキのほかにも、お酒とかピザとか、ユウ君の好きな酢イカとかがたくさんあって、

テーブルの上は、食べ物でいっぱいになった。


「じゃ、改めまして、レンとナナちんに、かんぱーい!」


ユウ君の音頭で始まった誕生パーティー。

大きなケーキは甘くて、イチゴは甘酸っぱくて、ユウ君の優しい味がした。

レンもわたしも、顔を見合わせて、微笑んだ。


「なんだよー。ふたりで目配せしちゃってさー」


鼻の頭にクリームをつけたユウ君は、わたしとレンを交互に見てにやにやしている。


「結局、付き合っちゃったんだもんな。いいなー、レン」


クリームに気づかないユウ君は、パクパクと勢いよくフォークを口に運んで、続けた。


「で、この前、オレの前で堂々とチュウしてましたけど、その後、いかがです?」


にやにやした顔を、更ににやにやさせたユウ君。

わたしは焦ってレンを見た。

レンはやれやれといった表情でユウ君を見ている。


「あのな、お前が気にすることじゃないだろ」

「いや、オレだってナナちん、気に入ってたんだから」

「そうか。それは残念だったな」


レンは笑って、からかうみたいに言った。


「残念って! くそー。いつか奪ってやるぞ」

「奪うって」

「ナナちんを振り向かせてみせるぞ」

「無理だね」

「なんでだよー」

「ナナは、オレに惚れてるから。

そしてオレも、ナナに惚れてるから」

「ぎょえーー! お前よくそんなセリフ言えるな」


ユウ君のほうが顔を赤くして慌てている感じ。

そんなユウ君を、わたしも顔を赤くして眺めた。