「ちゃんと、お母さんは見てる。

…あの星空から、レンのこと。

レンがそんなに悲しんでたら、

きっと、お母さんのほうが辛いよ。

…大丈夫。お母さんは、レンのこと、何にも怒ってない。

もちろん、恨んでなんているはずがない。

それよりも、きっと心配してる」



抱えたレンの身体から、ゆっくりと力が抜けていくのがわかった。



「ナナ…」

「…ん?」

「情けないよな、オレ」

「…そんなことない」



レンはわたしから身体を離して、静かに向き合った。

真っ直ぐな瞳で、わたしを見ていた。



「ナナに、話せてよかった」

「…うん」



レン…話してくれて、ありがとう。

大事な、大切な、苦しくて、辛い、あなたの気持ち。



「レン」

「ん?」

「あたしが、」

「うん?」

「あたしが、レンを支えるから」



レンは、黙ってわたしを見つめている。

まだ少し、涙の残る瞳で。

涙の跡が残る、頬を向けて。



「いつもいつも、支えてもらってばっかり、あたし。

でもね、お母さんのぶんも、レンのことを支える。

さっきもね、レンのお母さんに、そう伝えたの」