君の左のポケットで~Now&Forever~

けれどわたしは、言葉が見つからなくて、

そっとレンの身体を抱きしめることしかできなかった。


小さく震えるレンの肩を、胸に包んで、

いつもレンがわたしにそうしてくれるように、

レンの頭に唇を押し付けて、髪を撫でてあげることしか、できなかった。



「……っく…」



わたしの腕のなかで、胸に顔を押し付けて、声を殺して泣いているレン。


「レン…」

「……ナナ」


ゆっくりゆっくり、レンの背中を撫でて、わたしはようやく口を開いた。

想っていることを、言ってあげれば、いい。



「レン…話してくれて、ありがとう。

誰にも…誰にも言えなかったんでしょう?

ユウ君にも、誰にも。

ずっと、自分で、一人で、抱えてきたんでしょう?

…苦しかったよね。

わたし…知って…ううん、レンが苦しいの、わかる。

ちゃんとわかるよ。

でもね…でも…もう、いいと思う。

レンは、もう十分苦しんだよ。

レンのせいじゃない。

自分の子供をかばって、それで星になったお母さんが、

それをレンのせいだなんて、思ってるはずないもの」



レンの背中を撫でて、レンの頬に流れる涙をそっとぬぐって、わたしは続ける。