レンが何も言わないから、聞かない。

そこに、わたしを連れていってくれるってことに、感謝しなくちゃいけない。

レンの誕生日に。わたしの記念日に。

ふたりでちゃんと、お母さんのところに行けることに。



今日は土曜日で、レンは1時半に帰ってくるから、それまでに準備しなきゃいけないものがあって。

今、それを作ろうと、わたしはこうしてテーブルについている。


レンの誕生日。

何か、プレゼントを用意したい。

そう思ったから。


でもわたしは居候の身で。

もちろん、お金もなくて。

何にも準備できない。


ご飯を作ってあげたって、下手っぴだし、レンのお金から出てる材料だし。

何か買ってあげたいって思っても、それも、レンのお金から出さなきゃいけないわけで。

それじゃ、意味がない。


そう気づいて、わたしはすごく悩んで、落ち込んだ。

何にもしてあげれない。

せっかく、ヒトになって、レンにプレゼントできる立場になったのに。


どうすればいいのかな。

もう一週間前ってところで、そう気づいた。


で、昨日思いついた。

わたしの持ち物は、この水色のスカーフだけ。

何かできるとすれば、これを何とかするしかない。


…って、それしか思いつかなかった。