「ねえねえ、昨日の見た?」


「昨日のって?」


「9時からやってたドラマ。人形がヒトの心を持っちゃうってやつ」


「あっ、見た見た! なんか、古い人形がヒトを襲っちゃうってやつでしょ?」


「そうそう、怖いよねぇ、あんな人形いたらさ」


「絶対やだ。気持ちわるいもん」



学生だらけの午後のロビーで、女の子たちのグループはおしゃべりに夢中だ。



手にはココアの紙カップ。


グロスで光る唇には、ポテトチップのかけらがくっついている。



話題は昨日のドラマの話みたい。


それなら、わたしも見た。


「見た」、と言うか、


見えたり聞こえたりしてた…っていうのが、正しいのかもしれないけど。