君の左のポケットで~Now&Forever~

「しょーがねーな」


レンはそう言って、やれやれという感じにわたしの背中をポンと叩く。


夜の、外の匂いが、まだレンに絡み付いている。

胸に押し当てた鼻で、すうっと肺いっぱいにレンの匂いを閉じ込める。

一日を終えてきたレンの匂い。

レンの、レン自身の匂いが強い、ドキドキする匂い。



「ナナ、とりあえず離れろ」

「いや」

「おい」

「もうちょっと」

「離れないと、あげないぞ」

「え?」


顔を上げたわたしににんまり微笑んだレンは、

鞄の中からごそごそと紙袋を取り出した。


「これ」

「あ、ハンバーガー」

「あげないぞ」


レンが取り出したのは、ハンバーガー入りの紙袋だった。



「お前、食いたいって言ってたろ」

「食べたい!」

「離れないと、やらない」

「離れる離れる、離れます!」


笑ったレンはさっさとソファへ向かってしまう。

わたしも慌ててその後を追った。